中小・ベンチャー企業における業務プロセス管理ツールの利用

TDFソリューションズ 社長の田中です。

これまで約10年に渡り、QPR製品を取り扱ってきました。

デザイナークライアントの単独利用も可能ではありますが、サーバーベースで運用されるこうしたツールは、
大企業での導入を対象としていると思われがちです。

しかしながら、QPRは従業員100~200名規模の企業様やさらに従業員が少ないながらも、
急成長しているベンチャー企業のお客様にも導入いただいています。

マルチタスク化と業務標準化の問題

このところの経済情勢の中、多くの企業・組織が人員の削減に取り組んでおり、
結果としてシングルタスクからマルチタスク化が進んで来ています。

これまで他の従業員がやってくれていた仕事も、自分でやらなければならない、
一人でこなすべき業務の範囲が拡大した、というお話も良く聞きます。
特に各地の営業所ではこのあたりの傾向が顕著に出ているように思えます。

多くの従業員が不慣れな業務に取り組んだ結果、当初の想定以上に作業効率や業務品質が低下し、
業務標準化の課題を抱えている
というお話をよく耳にします。

一方、ベンチャー企業では、会社の急速な拡大に伴い、従業員が育ってきたカルチャーが大きく異なる
ケースが少なくありません。業務の進め方、判断等に前職での経験が影響、個人に依存してしまい、
「標準的な業務」自体が非常にあいまいになりがちです。
株式の公開準備段階で、この問題への対処が急務となることもめずらしくありません。個々ばらばら
では、統制も何もありませんから。

フローチャートはこうした課題に応えられる?

いずれのケースにしても、様々な業務内容について標準化し、その徹底が求められる訳ですが、
そうした際によく用いられるのが業務の流れをフローチャートによって可視化する手法です。

ただ、このフローチャートについても、

「手間暇かけて作成したが、現場が見てくれない」

というお話を結構耳にします。

もっと現場にわかりやすいものにしようと、さらに大きく手を入れて、綺麗でわかりやすいものを作成したが、
やっぱり見てくれない、と。

余談ですが、例えば「画面」図形で表現されているものをモニターのイメージファイルに置き換えたりする訳ですが、
こうした作業も一般的なツールでは差し替え作業の繰り返し作業がかなり発生するのではないでしょうか?
QPRなら図形の定義設定を変更したら終わりなんですが…。

話を元に戻します。

フローチャートは業務の全体像と流れを理解する上では非常に役に立ちます。
全体最適化のワークショップや監査等の資料としては非常に有効です。

一方、私自身のこれまでの現場での業務経験にあてはめて考えると、自分の業務を会社の標準に合わせる意識は
常に持っています。ただ、非常に多忙であることも確かなので、効率的をそれを支援してくれるものが必要です。
それなしに、フローチャートと関係文書の参照先だけもらっても、きついな、と考えたと思います。

現実の業務においては、

  • 業務に関連した法規や社内規程・通達等
  • 業務マニュアル・手順書
  • 成功・失敗などの経験則に基づいたノウハウや注意事項
  • 利用できるサンプル・ひな形とその利用例
  • 監査等において指摘を受けた事項と改善勧告の内容
  • 参考となる社内外の情報リソース

等、様々な関連情報が山のようにあり、常時こうしたものの所在を調べたり、探したりしながら
作業をしている訳で、どこに何の文書がある、それが頭に入っているだけでも立派なノウハウだったりします。

実際のところ、標準化や改善プロジェクトを経て、プロセスに変更が発生した場合、こうしたものを
一からチェックしなおしたり、リセットに近い状態からやりなおすことにもなりますし、
場合によっては、関連文書自体改訂しないと使い物にならないこともあります。

いずれにしても、現場に相当な負荷がかかる可能性があります。

見ていない、というよりは、自分の業務での多くの情報が新プロセスではどう変わるか、
の整理が仕切れていないまま、業務は継続し続けなければならない

という状況に陥ってしまうのかもしれません。

QPRでは?

このような認識を持っている私が、QPR ProcessDesignerのようなフローチャートをベースとした
ツールを扱っている訳ですが、それは「このツールはちょっと違う」と思えるからです。

例えば、先にあげたような膨大な情報を個別に探すのではなく、フローチャートと一体
になっていたらどうでしょうか?

フローチャートの各図形をクリックするとそうした関連情報が一覧でき、
必要なファイルを簡単に取り出せる
としたら?

関連ファイルがリンクしているので、プロセス変更の検討段階で、影響を受けるファイルの
把握もしやすくなる
、としたら?

自分に関係ある業務をリスト化したり、ブラウザの「お気に入り」のように、
自分に関係ある画面をクリック一つで保存・参照できるとしたら?

そして、それがリーズナブルな価格で短期間で導入でき、メンテナンス性も高いとしたら?

こうしたことを実現できるのがQPR ProcessDesignerの最大の特徴なのです。

活用するためのフローチャート

フローチャートの作成ツールは数多くあります。それぞれに一長一短があり、QPRも機能的にかなり
充実し、優れたツールであるとは思いますが、こうしたツールに求める要件が、「フロー図を作成する」
ことだけであれば、それだけで突出した優位性を持つことは、難しいように思えます。
これは、QPRだけでなく、どのツールにも言えることですが。

QPRのプロセスモデリングツールは、「フロー図を作成する」機能に加えて、「フローの変更と管理」を効率
よく行うための機能、「フロー図を分析やシミュレーションに活用する」ための機能を提供しており、
これが他のツールに比べて、評価をいただいている要因の一つとなっています。

さらに、「業務プロセスに実際に従事する人々のための機能」、つまり作成したフローを日常の業務で有効に
利用してもらうための機能にも非常に大きなウエイトが置かれており、ここについては他のツールに比べて
突出した部分として評価をいただいています。

これらの機能にも注力することで、QPRは業務プロセス管理のPDCAサイクルを短い期間で回すことを実現しました。
フィンランドの小さな会社であるQPR(私の会社よりは、はるかに大きいですが)が、大手のベンダー製品も多々ある
このマーケットで、20年に渡り一定のポジションを確保してきたのは、こうした独自性からくるものです。

中小・ベンチャーの企業様が、このツール導入を積極的に検討いただいているのも、
この「業務プロセスに実際に従事する人々のための機能」に魅力を感じていただき、「現場が使うためのフローチャート
を作成できるツール」として評価をいただいているから、と考えています。

業務プロセスの改善・改革を行う上では、現場の積極的な関与が非常に大きな影響を与えるといわれています。

現場の方々自身に、自分達の役に立つように、関連情報を整理統合(全部入れ込んでしまうのではなく、
リンクさせることも可能です)してもらいながら、現場で使うためのフローチャートを作りこんでいく、
という進め方は、こうした現場の関与を引き出す上では有効なアプローチといえます。

見せるためのフローチャートからむしろ現場が積極的に活用できるものに変革していく、
それを通じてプロセスに関する全情報とコミュニケーションをワンストップで利用できるように統合していく。

QPRはそれが実現できるツールであると考えています。

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